2025年1月6日

岡山から広がるコワーキングの新たな波。恒次さんインタビュー

今月15日、16日に沖縄のコザで開催される「FLC Fes」。そのカウントダウンイベントで盛り上がるFLC Fesには、地域を超えてコワーキングの文化を広めるキーマンたちが集結しています。本日は、FLC Fesアンバサダーであり、岡山のコワーキングスペース「Think Camp」を運営する株式会社スイッチ代表の恒次さんにお話を伺いました。

コワーキングへの挑戦、そして現在

かなみん:今日はお越しいただきありがとうございます。早速ですが、恒次さんの活動やこれまでの経緯についてお聞かせください。

恒次さん:はい、ありがとうございます。「Think Camp」は今年で8年目になります。もともとはウェブ制作会社として株式会社スイッチを立ち上げたのですが、ウェブ制作の業界はかなりクローズドなところがあり、関わる機会が限られていました。

その状況を変えたくてコワーキングスペースを作ったところ、予想以上に多くの方が集まるようになりました。最初に来てくれたのは、私が以前関わっていたベンチャー系の勉強会の参加者たち。特に中国地方、広島から多くの人が訪れてくれました。

スタートアップの拠点としての進化

恒次さん:コワーキングスペースができたことで、スタートアップの会場としても使われるようになりました。「スタートアップキングダム」というイベントを初めて開催したのもここで、私も運営やメンターとして関わるようになりました。

場所を作ることで、思いもよらない出会いや繋がりが生まれるんだなと実感しました。

かなみん:まだ7年前というと、かなり新しい取り組みですよね。他にも同じようなスペースはありましたか?

恒次さん:岡山ではほとんどありませんでした。私たちの「Think Camp」が老舗のような存在になっています。約3年前には「岡山コワーキングスペース協会」を立ち上げ、瀬戸内エリアでコワーキングフェスを開催するなど、地域を超えた連携も行っています。

地域連携で生まれた岡山コワーキングスペース協会

岡山のコワーキングスペース文化を支える一つの団体が「岡山コワーキングスペース協会」です。恒次さんは、その立ち上げについて以下のように語ってくれました。

恒次さん:最初は、WonderwallさんとTOGITOGIさんと連携して始めました。競合する立場ではありますが、岡山のような地方では、競争よりも連携して業界を盛り上げることが重要だと思ったんです。3社で一緒にコワーキングの価値を伝えていこうということでスタートしました。

協会の活動内容

協会の主な活動は、年に2〜3回のイベント開催です。各コワーキングスペースが持ち回りで会場を提供し、勉強会やワークショップを実施しています。

恒次さん:去年の9月に開催したイベントでは、尾道のコワーキングスペース「ONOMICHI SHARE」の後藤さんと一緒に勉強会を行いました。岡山だけでなく、香川や広島からも参加者が集まり、コミュニティマネジメントや運営の仕方について学び合いました。

また、新しいスペースも積極的に協会に参加しています。最近では、宇野に新しくできた「UNO BASE」が加盟し、他にも「ひとやね」など、大規模なコワーキングスペースもイベントに顔を出してくれるようになりました。

Think Campでの新企画「ツネバー」

イベントの中で恒次さん自身が受けた印象的なフィードバックが、新しい企画「ツネバー」のきっかけとなりました。

恒次さん:ある時、参加者から「Think Campで何かやってほしい」と声をいただきました。特に「恒次さんに会いたい」という話もあり、それならばと「ツネバー」という場を設けることにしました。

かなみん:その「ツネバー」はどんなイベントですか?

恒次さん:簡単に言うと、私との交流を楽しむ場です。マキさんが企画を提案してくれて、試しにやってみたら、15人ほどが集まってくれました。トークセッションのような形で、参加者からの質問に私が答えたり、逆に質問を投げかけたりして、盛り上がりました。その後、2次会、3次会と続いて、夜中の3時頃まで楽しい時間を過ごしました。

コワーキングスペースが生む新しいアイデア

岡山のコワーキングスペース文化を牽引する恒次さんは、コミュニティの力を活かして新たなアイデアが生まれる瞬間を大切にしています。

恒次さん1つのコワーキングスペースだけでは思いつかなかったアイデアも、みんなで集まってワークショップをすることで生まれることがあります。それを実践してみたら、思った以上に盛り上がるんですよね。

例えば「ひとやね」さんも勉強会を通じて方向性が明確になりました。郊外型の大きなスペースでイベントを中心に運営していく形になり、コワーキングスペースの収益化に向けた新たな道が開けたのではないかと思います。

瀬戸内エリアの広域連携

地域を超えた連携の一環として、瀬戸内エリア全体でのコワーキングフェスが開催されています。

かなみん:瀬戸内の繋がりについて教えていただけますか?

恒次さん:約2年前に第1回目の「瀬戸内コワーキングフェス」を高松で開催しました。それ以降、香川や広島からの参加者との交流が深まり、イベントには遠方からも人が集まるようになりました。

フェスの運営は、自前でお金を出し合い、みんなで協力して行っています。大変なことも多いですが、イベントを通じてできた繋がりは非常に価値があると思います。

知り合いがいる場所が旅先になる喜び

瀬戸内エリアのコワーキングネットワークは、地域を超えた新しい形の交流を生み出しています。

恒次さん:この間も尾道の「bench!」というコワーキングスペースに行った際、知り合いが「来てくれてありがとう」と声をかけてくれました。旅先で知っている人がいる場所があると、すごく嬉しいものです。

かなみん:確かに、そういう繋がりは大切ですね。

恒次さん:僕たちはこの繋がりをどんどん広げていきたいです。瀬戸内エリアでは、コワーキングスペースを利用する人たちも地域内で移動することが多いので、「広島に行くならここ」「岡山駅前ならここ」という形で、利用者同士も自然と繋がり合っています

コワーキングスペースの持つ力—偶然の出会いが生む価値

恒次さん:昨年度の年末、12月27日にアメリカ人のウィルさんという方が飛び入りで参加してくれました。その日は私たちのスタッフであるタケウチさんが昼間に忘年会を開いていたのですが、ウィルさんは英語しか話せない中、弁当を持って座って一緒に忘年会に参加してくれたんです。

その場でたわいもないコミュニケーションが生まれ、ウィルさんにとっても忘れられない日になったと思います。こうした偶然の出会いが生まれるのも、コワーキングスペースという場所があるからこそだと感じています。

コワーキングスペースが人生を変えるきっかけに

恒次さん:過去には、私が興味を持ったYouTubeの先生をセミナーに招いたこともありました。最初は「面白い人だな」という気軽な気持ちで呼んだのですが、その先生が行ったセミナーに参加した女性が、その後その先生の別のセミナーも受講し、商売を始めて本を出版するまでになったんです。

その女性は、「この場所があって、このイベントがなければ、今の私はいなかった」と言ってくれました。私としては、ただ面白そうだと思って先生を呼んだだけでしたが、結果的にその方の人生に大きな変化をもたらしたんですね。

Think Campの始まり—「人に会いに来る場所」

かなみん:Think Campは、恒次さんにとっても大きな変化をもたらした場所なんですね。

恒次さん:そうですね。実は最初は何の志もなく、ノリで作ったんです。元々、オフィスが手狭になって、新しいフロアを借りるほどでもないけれど、ちょっとした場所が欲しいなと思って作ったのがThink Campの始まりでした。

最初は本当に何もわからず始めたのですが、タケウチさんのように、ここで働いてくれる人たちとの出会いが私自身の人生も変えていきました。特にタケウチさんは、元々主婦だったのですが、今では「頼れるお姉さん」的なキャラクターでタレントのような存在になっていますね。

出会いの場から成長の場へ—Think Campの未来

かなみん:そんなタケウチさんのような存在が、Think Campの魅力の一つですね。

恒次さん:そうですね。人に会いたいと思ってもらえる場、人が成長できる場を提供できるのがThink Campの強みだと思います。最初はノリで始めた場所が、今では多くの人にとって価値ある場所になり、人々の人生を変えるきっかけにもなっていると感じます

地域をつなぐコワーキングの力

恒次さん岡山コワーキングスペース協会の活動は、単なる作業場所の提供を超え、地域の人々をつなぎ、新たな価値を創出しています。

今回のインタビューから、岡山のコワーキングスペース文化がいかに地域連携を大切にしているかがよく分かりました。恒次さんの取り組みは、他地域でも参考になるポイントが多く、コワーキングの可能性を改めて感じることができました。

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